「仙台みそ」と塩分の話 - 宮城県味噌醤油工業協同組合 - 仙台みそに関する総合情報サイト

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みその塩分は、普通の食塩より血圧を上げないことも判明!

みそは自然食品の代表的な食べ物で、今までにいろいろな効用も発表されています。その一方で、塩分を含むため摂り過ぎは胃がんや高血圧など生活習慣病の危険分子だと言われました。
渡邊敦光・広島大学名誉教授は、みそに含まれる塩分は胃がんを促進しないこと、さらに、みそに含まれる塩分と食塩単独とでは、血圧に対する影響が異なるという動物実験で実証し、第2回日本毒性病理学会で発表しました。その実験結果をご紹介いたします。

みそ汁の摂取は生活習慣病を防ぐのか?促進するのか?

国立がんセンターのホームページを見ると、みそ汁の摂取は乳がんのリスクを下げるという結果が紹介されています。しかし、同ホームページでは、「みそ汁をたくさん飲むと塩分を多く摂ることになり、塩分の摂りすぎは胃がんや高血圧など他の生活習慣病の危険因子だといわれている」とも述べ、乳がんは抑えるけれど、別の影響もありますよと言っています。
医師、栄養士などの専門家がみそ汁をすすめる際には、胃がんと高血圧、この2つが大きなネックになっているわけで、一般の国民はみそ汁を飲むべきか、飲まざるべきか、いささか混乱するところです。
みそ汁の有用性は多くの研究で証明されていますが、一方ではみそには食塩が含まれていて、食塩は胃がんを促進し、血圧を上昇させるという疑念が払拭されていません。
そこで私たちは、みそおよびみそと同量の食塩を含むエサを動物に与える実験を行い、胃がんの発生と血圧の変動を観察してみました。

塩は胃がんを増やすが、同量の食塩を含むみそは増やさない

実験では雄のラットを5群に分け、1000ppm濃度の発ガン物質(MMNG)を飲料水として16週間飲ませて胃がんをつくる一方、10%と5%のみそを含むエサ、みそと同じ濃度の2.2%と1.1%の食塩を含むエサ、その後さらに普通のエサを8ヶ月与え、胃がんの発生の有無や、大きさ、数などを調べました。
結果として2.2%食塩群の胃がん発生率は68%。普通のエサ群の32%にくらべ、明らかに上昇しました。
一方、同じ濃度の食塩を含む10%みそ群では45%に抑えられ、普通のエサ群との有意差はありませんでした。
ガンの大きさも、2.2%食塩群では4.1mmと、普通のエサ群の1.2mmにくらべ有意に大きくなりました。
しかし、10%みそ群では2.3mmで、普通のエサ群と有意差はありませんでした。
また、食塩1.1%群でもガンの大きさが4.5mmと普通のエサ群にくらべ有意に大きかったのに対して、同量の食塩を含む5%みそ群では、半分以下の2.0mmにしかならず、有意差はありませんでした。
発がん物質とともに食塩を与えるとやはり胃がんが多く発生しますが、同量の塩分を含むみそを食べさせると発生率が低く、発生した場合でもガンが小さく抑えられたことがわかりました。
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仕込み期間が長い熟成みそほど、胃がんの抑制効果が高い

私たちの研究室では以前、放射線の障害作用に対するみその防御効果を動物実験で明らかにしました。その際仕込み期間が3~4日目のみそ、120日の熟成みそ、180日の熟成みそを食べさせたマウス群に、放射能を照射して小腸組織の再生を見ますと、仕込みが長い熟成みそのほうが、長く生きるという統計的な有意差を得ました。
そこで今回も、食塩を含むエサと、同量の食塩を含む発酵初期(仕込み2~3日)のみそ、120日熟成みそ、180日熟成みそを食べさせてみたところ、熟成が進んだみそほど胃がんの抑制効果が高まる結果が得られました。
特に180日熟成みそでは、胃がんの大きさが1.78mmと、同量の食塩を含むエサを与えた場合の5.17mmにくらべ明らかに小さくなりました。
結論としては、食塩は胃がんを増やしますが、同量の食塩を含むみそは胃がんを増やしません。180日熟成みそには明らかな抑制効果がありました。
みそに含まれる食塩は、このように、食塩単独とは作用が異なることを実験的に証明されたと思います。
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みそは、食塩感受性ラットの血圧を上げない

日本人の約3分の1は、食塩を摂ると血圧が上昇する食塩感受性遺伝子をもっているといわれますが、食塩感受性の人でも、たんぱく質を同時に摂取すると血圧は上昇しにくい、といった報告もあります。
そこで私達は、食塩感受性のあるDahlという系統のラット用い、みその摂取が血圧に与える影響を調べてみました。6週齢のDahlラットおよび一般的に使用されるSDラットの雌雄に、2,3%の食塩濃度の180日熟成みそを含むエサ、同じ濃度の2.3%の食塩を含むエサ、1.9%の食塩を含むエサ、0.3%の食塩を含む普通のエサを与えて、12週間飼育しました。その間、2.4.8.12週目に血圧を測定しました。ちなみに、ラットの血圧はしっぽで測ります。カバーをして約38℃のところに入れると、おとなしくなるので、しっぽに血圧計をセットし、スタートボタンを押して血圧を測定します。その結果、食塩を含むエサを食べさせると、普通のSDラットでは血圧は上がりませんでしたが、雄のDahlラビットの場合、8週、12週と血圧が上昇しました。
ところが、みそを含むエサと普通のエサでは血圧の上昇に差がありませんでした。みそには2.3%の食塩が含まれていますが、0.3%の食塩を食べさせているのと、血圧がほとんどかわらなかったのです。
雌のDahlの場合も同様に食塩だけだと血圧が上がってきますが、みその塩分では血圧は上がりません。
結論として、食塩感受性ラットにみそを食べさせても血圧は上がりませんでした。このように食塩を摂ることで血圧が上がるような特殊なラットを使っても、みそは血圧を上げなかったと言うことになります。
すなわち、この事は胃がんだけでなく、血圧でも、みそに含まれる食塩は食塩単独とは違う働きをしていることがわかりました。
これはあくまでも動物実験ですが、動物で起こることは多かれ少なかれ人でも起きます。人で起こることは動物でも起こるというのが私の信念です。すなわち、今回の結果をふまえ、生活習慣病の予防のために食塩は控えたほうがよいが、みそ汁は積極的に摂ることがすすめられると結論できるように思われます。


参考資料:みそ健康づくり委員会『味噌コンシューマー・ニュース』第16号(2006年3月)

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